経営幹部を中心とした「合意形成の経営」を目指して
事例の概要
有限会社コンチネンタル様では、業務拡大に伴い岡田社長がすべてをリードしてきたこれまでの経営を改め、経営幹部を中心とした「合意形成の経営」を目指して経営改革を推進しています。
平成17年5月~6月にかけて経営幹部が集まって「経営戦略企画書」を策定しましたのでご紹介いたします。
会社概要
有限会社コンチネンタル
富山県富山市水橋172番地
代表取締役 岡田 幸雄
事業概要
・金属鋼板を使用した工作機械カバー
・電機機器の筐体、建材などの製作
主要取引先
上場企業とその関連会社、有力企業
資本金
1,000万円
従業員
33名
年間売上高
4億7千万円(直近事業年度)
沿革
平成 3年10月 会社設立
平成 3年11月 富山市森56番地にて創業
平成 4年 8月 富山市水橋沖172番地に新工場竣工
平成 7年12月 第二工場増設
平成 8年 5月 資本金1000万円に増資
平成10年 9月 富山市豊田に倉庫兼工場開設
平成14年 8月 富山市水橋沖202番地に北工場開設
これまでの経緯(ITCとの関わりについて)
平成15年に「インターネットの活用方法」(富山県新世紀産業機構様)のアドバイザーとしてはじめて企業訪問しました。
その後の経緯は次のとおりです。
・平成16年8月 岡田社長がITSSP事業の「経営者研修会」に参加される。
12月 「戦略的ホームページの製作コンサルティング」
(専門家派遣事業)
・平成17年5月 「次期経営戦略策定コンサルティング」
(専門家派遣事業)(今回ご紹介)
経営戦略の必要性(社長の想い)
創業以来13年間、岡田社長は社員に対して会社の戦略や経営目標を口頭で何度も伝えてきましたが、形あるもので配付したことはありませんでした。そこで次 期経営戦略は経営幹部と一緒になって考えて合意形成を行なった上で、形ある企画書として策定したいとの強い思いがありました。
また、経営戦略の立案を通して経営幹部の「経営に対する考え方」を習得してもらいたいとの思いもありました。
策定過程の紹介
岡田社長以下経営幹部6名が参加して合意形成を図りながら実施しました。
具体的な内容は、次のとおりです。
第1回目: | ヒアリングの実施(会社概要、事業概要、社長の想い、経営理念、経営方針、経営目標)現状事業ドメインの把握、現状の業界特性分析 |
第2回目: | 経営環境分析(SWOT分析、マトリックス分析) |
第3回目: | 経営成熟度モデルによる自社経営成熟度の現状確認、新事業ドメインの定義 |
第4回目: | 経営課題の抽出方法と重点経営課題の決定 |
第5回目: | アクションプランの作成方法、重点経営課題の管理要件への展開 |
第6回目: | ビジネスモデル(収益構造モデル)の作成 |
第7回目: | 業績評価指標、目標値、実行施策の設定 |
第8回目: | 業務プロセス対象範囲の決定 |
第9回目: | ビジネスプロセスの選択およびベストプラクティスとの比較 |
第10回目: | 新規プロセス編成の作成支援および経営戦略企画書の作成 |
成果と実施結果
(1)成果
・企業の目指すべき方向性を経営幹部と合意できたこと。
・重点経営課題の明確化とアクションプランの作成ができたこと。
・業務プロセスの改善ポイントが明確になったこと。
・経営幹部の「経営に対する意識」が向上したこと。
(2)実施結果(平成17年8月~平成18年7月まで)
<重点経営課題の達成率>
・重点経営課題1(達成率:約30%)
・重点経営課題2(達成率:約80%)
・重点経営課題3(達成率:約20%)
評価:目標の達成率は低かったが、成果は少しずつ上がっている。
1年間の活動を踏まえて問題点が明らかになったので、来期に生かしていきたい。
今後の課題
(1)来期(平成18年8月~)の経営戦略企画書の策定
昨年策定した経営戦略を基に経営幹部が集まり社内でブラシュアップを行ないました。(実施済み)
(2)5S活動の推進
全ての改善活動を着実に推進するために、会社の基盤作りとなる人材育成の観点から「5S活動の推進」に取組む予定。(現在進行中)
支援したITコーディネータのプロフィール
宇田川静夫(57歳)
ITコーディネータ富山 理事
有限会社システムユニオン
取締役社長
経歴:
・昭和47年3月 富山大学 工学部電気工学科 卒業
・昭和47年4月 沖電気工業株式会社 芝浦事業所(電子回路設計、ソフト開発担当)
その後、株式会社北陸エレクトロニクス(マイコンソフト開発担当)
不二越工業高等学校 教諭(電子技術、情報技術担当)
・昭和62年2月 特種情報処理技術者 取得(通商産業省)
・平成6年3月 北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 修士
・平成6年4月 株式会社シキノハイテック 富山事業所長、その後SI事業部長を経て
・平成13年3月 有限会社システムユニオンを設立
・平成15年 ITコーディネータ補を取得
・平成16年 ITコーディネータに昇格。
・平成18年 ITCインストラクター(ITコーディネータを養成するケース研修15日間の講師)
・これまでITSSP事業の経営者研修会講師や計画書策定コンサルティングに参加。
・ITコーディネータ富山では、平成16年度より理事(研修委員長、渉外委員長を歴任)。
・大企業~中小企業~小規模企業における豊富な業務経験に基づいて、経営者の立場に立って企業の競争力を高める為に、経営幹部との合意形成を図りながら経営革新(経営戦略策定、IT戦略企画、導入、経営モニタリング、人材育成など)に積極的に取組んでいる。
(2006/8/13寄稿)