新年の願い
平成18年1月10日
(株)富山富士通
植松 栄介
1.景気回復と情報化投資
年も改まり、今年は「いざなき景気」を超える景気回復が声高になっており、当然のことのように各企業団体における情報化投資も上向くことが予測されている。旺盛な資金投入は、情報処理産業に携わる者としては喜ばしいかぎりであるのだが、ふとその現場に目をやると、少し疑心暗鬼に陥ってしまう。
高度成長の時代の情報化投資は、全くの未知の世界への突入という面や技術的な不完成さという挑戦ではあったが、ソリューションとしてはとても判りやすかった。加えて、不完全な技術であっても、それを熟知したベンダーが一緒に汗をかいて解決もしてくれた。
しかし、もうそんな世の中ではない。
堅牢なレガシー(遺産)システムが未だに基幹として稼動している。あるいは、先駆的にオープン化を果たしたものの、早くも陳腐化してしまい代替に苦慮しているというケースもある。一方で、ユーザー側の業務プロセスも高度化あるいは複雑化を遂げており、単なるIT導入だけでは、その問題を解決できないものが増えてきているのも事実である。
2.情報化投資プロジェクトと勝ち組/負け組
一声に景気回復といっても、高度成長期のように業種の単位で全体が好況なわけではない。確かにベースとしての好不況は同じ条件ではあるが、それだけではこれほどまでにも勝ち組と負け組に分かれたりはしない。個々の企業や組織団体毎に、明らかに「何か」が違うのである。
冒頭の「現場」とは、情報化投資プロジェクトの現場である。
情報化投資のプロジェクトには、大規模なシステム再構築もあれば表計算ソフトを活用した業務改善もあり、その適用分野も千差万別である。しかし、情報化投資プロジェクトであることは間違いなく、その関係者として経営者・利用者・情シス部門/ベンダーという構図が生まれてくる。ここに情報化投資プロジェクトの「現場」がある。
高度成長期のような単純明快なソリューションでは無くなってはいるが、その現場において、明らかにベンダー(あるいは情シス部門)側が弱くなっているのは事実である。また、利用者についても社内をまとめられない/本来解決すべき問題に手出しをしないといった面もある。
しかし、全ての情報化投資プロジェクトがそうではない。ここに勝ち組と負け組とを分かつ重要なポイントが存在している。
3.ITコーディネータの果たす役割
経営者としては、プロジェクトを成功させ成果をあげることが使命となるが、ここで、しっかりとしたベンダー(あるいは情シス部門)や、頼りになるスタッフを確保/育成できているかどうかが、その成否の分かれ目といって過言では無い。そういう人材(人財)であれば安心してプロジェクトを任せられるであろう。
しかし、そうでない場合はどうだろうか?
ここにも、我々ITコーディネータが果たす大きな役割がある。
そんなプロジェクトでは、耳ざわりの良い話だけでは進まないし、いきなり理想を実現するようなことも難しいであろう。ITコーディネータが、経営者を多方面から支えて、情報化投資プロジェクトを成功に導いていくことが出来れば本懐である。
年始にあたり、私はそんなITコーディネータでありたいと願った次第である。