ルールを決めるのは難しい
平成19年8月28日
北陸コンピュータ・サービス株式会社
繰菅 徹
私はITC資格を持つベンダーのSEです。
もっぱらITC用語で言う「IT導入フェーズ」を担当しておりますが、常にITCとしての視点を忘れずに仕事に取り組むよう心がけています。
「ルールを決めるのは難しい」
最近、いろいろな場面でこう思います。
「システムを作る」という作業は「ルールを形にする」作業なのではないかとも最近よく思っています。
例えばある企業に販売管理のシステムを導入します。
手順としてはシステム化の構想をまとめ、打合せを行い、どのような機能が必要なのかを決めます。
このときに重要なのが販売管理システムの周りにある「ルール」をいかにもれなく、矛盾せずにまとめてシステムの機能の中に盛り込んでいくかということ。
実はこのときの「ルール」にはいろいろなレベルのものが混在しているのです。
- 法的なルール
- 一般的な慣習としてのルール
- 社内的なルール
- 担当者のローカルなルール
- 暗黙のルール
- 明文化してあるルール
- 現在のルール
- これから(新システムで)採用するルール
これらがうまく整理できていないと、出来上がったシステムもいろいろなところが歪んできます。
よくあるケースは以下のようなパターン。
・ルールのバランスがうまくとれていない。
社内のルールや担当者レベルのローカルルールを重視するあまり、法的なルールが守れない
または無理やり合わせにいくために機能が複雑化してしまう。
・暗黙のルールについての聞き取りがうまくできず、顕在化できないまま新システムでのルールとしてしまう。
お客さまにとっては「当たり前」のことなので、明文化されていなくても 特に指摘されないまま、システムが導入されてから仕様モレとして発覚する。
当然機能としては反映されていないのでうまく業務が回らない。
・「新システムの導入に伴って抜本的にルールを見直す」として開発に着手する。
現在の運用とは異なる「ルール」になるため、新ルールの妥当性を事前に検証することが重要なのだが、見通しが甘いと飛躍しすぎていて運用に乗らず、現行ベースでやりすぎると業務改善には至らないことになってしまう。
最近はシステム環境が柔軟になってきているので「システムがこれしかできないから業務をあわせよう!」というケースは減ってきているのですが、逆に「うちのやり方がこうだからとにかくカスタマイズ」という方向とのバランスが難しくなってきているような気がします。
ITCのスタンスとしては
「IT」と「業務改善」の両輪のバランスをうまくとりましょう!
なのですが、ベンダーのSEとしてお仕事をさせていただくときには「すでに決まっているルールを形にするだけ」の関わり方しかできないケースがあるのも事実です。
決まったルールには従わざるを得ないので、ポイントはルールを決めるところでいかにきちんと矛盾なく、シンプルで運用できる形にしておくかということ。
ここでルールを複雑にしてしまうと出来上がったシステムも複雑になり、コストがかかり、不具合が内在するようなことになってしまう...
できればルールを決めるときのメンバーとしてあらかじめシステムのことを考えられる人を入れておいてもらえるとてっとり早いケースが非常に多いのです。
もし手近にシステムを考慮してルールを考えられる人がおらず、かつ、このコラムを読まれて共感していただけた方々、ぜひITC富山のメンバーをご活用下さい。きっとお役にたてると思います。
最後に、奇跡的にこのコラムを読まれた政治家の方々に一言。
システムの都合も考えてルールを決めて下さい。
制度として決まってしまうと従わざるを得ないので..
特に消費税をいじるのであれば、できるだけシンプルに!!
もの毎に税率を変えるとか、毎年税率を変えるとか、そういうところには凝らなくていいです、ほんとに。