よい組織作りを行なうには
平成20年3月22日
三谷産業株式会社
畠山 春雄
ワールドカップアジア3次予選が始まりました。
サッカー日本代表が、最終予選まで進出して欲しいと願っています。
さて、目標や計画を立案してもなかなか達成出来ないという話は、よくある話だと思います。
例えば、サッカーの試合など、どんなに一人で頑張っても成果が出ない事があります。
チームプレイを行ない組織的に行動する事で、多大な成果が得られる事が多いと思います。
先日、サッカー日本代表岡田監督による講演があり、その講演を聞いて感銘を受けましたので、皆さんにご紹介したいと思います。
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【どのようにチーム作りをしてきたのか?また選手をどう扱ってきたのか?】
<目標設定>
どんなチームであっても組織やグループであっても、目標設定を行なうと思います。
ただ目標設定するのではなく、そのチームに合った目標である事が大事であり、なおかつ選手やメンバー全員が自分自身の目標だと思える目標かどうかが非常に大事です。
例えば、京セラでは、パートの売上でも会社のどの売上にどう繋がっているか解かる仕組みになっているとの事です。
また、最初の目標を達成した後も持続させるには、「なんでその目標を達成したいのか」その目標の目的を明確にする事が大事です。
「誰々の喜ぶ顔が見たい。」という思いを持ちながら行動する「人のための経営」を行なう人は、成功する人が多いですが、ただ売上や利益のみを追求して成果を上げている経営を行なう人は、成果が本物になっていないので長続きしない事が多いと思います。
選手や家族、サポーターの心から喜ぶ笑顔が見たいから勝たなければいけない。と言うのと、お金が欲しいから勝たねばいけないと言うのは、全然違うと思います。
また、チームフィロソフィーという物を作り、その内容を絶えず選手に言い聞かせることで、チーム内の行動指針を統一させるようにしています。
<4つのテーマと一つのキーワード>
Ⅰ.Enjoy・・楽しんで行動する。もしくは活動する事が大事。
「失敗を恐れてオドオド行動し、いろいろな事にトライしない人は、絶対に上達しない。失敗を恐れず、何事にも前向きに行動して欲しい。」と選手に話しています。また、過度な期待や執着心を持たず選手に接して選手が活き活きと活動出来る環境を作った結果、勝てなかった試合にも勝てるようになり、よい成果が得られました。勝ちたいという思いは必要だが、あまり執着し過ぎると勝てないので、試合が始まると選手には、「後の事は考えず思い切ってやって来い」と声をかけ選手を信じる事が、試合に勝つ事に繋がったのだと思います。
Ⅱ.Thinking by Yourself・・チームが勝つために何をしたらよいかは、各選手自身が考える事が大事。
相手の善意を信じて付き合う事が大事、そして、チーム全体の事を考えるのは、監督やコーチが考えるのでもなく各選手が考える事が大事だと思う。
また、良い選手に育てる事は容易ではない。選手に危機感を与える事だけしかしていないが、本人が変わらなきゃと思わないと人は変わらない。
本人がその気がないのにいくら教えても育たない。人は、水と肥料を与えれば育つものではない。
Ⅲ.Concentration・・今出来ることに集中しろ
勝負の鉄則として、無駄な行動、無駄な考えを省くという事がある。試合に負けた後の事など考えるのは、無駄な事である。
「先の事を心配しないで、日頃のコンディション管理、集中した素晴らしい練習、試合ではベストを尽くす、の今出来る3つの事をしっかりやれ。」と選手に話しています。
Ⅳ.Aggressive Play・・勝つためにベストを尽くす
結果として負けても良いが、勝つためにベストを尽くさないと次につながらない。
ベストを尽くした後であれば、試合に負けて悔しい。という思うはず。思わなければ、ベストを尽くしていない事と思う。
<上記4つの事をバラバラに実行するのではなく、チームで一番大事なのが、このコミュニケーションである。>
Ⅴ.Communication
コミュニケーションとして一番大事なことは、お互いを認め合う事が大事。
そのためには、認めて貰えるように努力する事が大事。
例えば、挨拶する事。元気良く挨拶を行なう事で、会話のきっかけとなり、会話が生まれる。
お互いを認め合う事で非常に強い団結力となる。また、ただ認めるだけではなく相手に認めている事を伝える事が大事である。
表面上の仲良しチームでは、強い団結力にならず、良い成果が出ない。
最後に、これから生きて行くには、コミュニケーションも大事だが、生きる力と「やった!」という感動、
「悔しい」と思う気持ちをバネにして頑張ろうとする思いが、一番大事だと言う事でした。
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私は、この講演を聞いて、組織として目標を達成するには、チームとしてかつ各選手自身の目標となる目標設定を行なう事、また、監督と選手は、お互いに認め合い信頼関係を築く事により、監督は選手を信じ選手は監督を信じて活動する事で、チームとして行動するようになる。その結果、組織としての目標を達成する事に繋がる事を改めて認識しました。
その中でも、相手に認めてもらう、また、認め合うという事が、コミュニケーションを図る上で、いかに重要な事であるかを気付かせて頂きました。
この世の中、自分が良ければそれでいいという自己中心的な人が増えてきているとの事ですが、人生を歩むには常に相手がある事なので、相手に対する感謝と思いやりの気持ちを持ちながら、基本的な動作である聞く話すに始まり、期待されたら期待に応える、ギブアンドテイク等、どのような相手でも片方向ではなく、双方向になるようにリターンを返す行動を行なう事が、人付き合いを長く保つ秘訣であると思います。